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企業の役割と実務
就業時間中に警報が鳴ったとき、その場で判断するのは現場の管理者です。指定公共機関でなくても、そこにいる人を守る責任は生じます。
まず確認:自社は指定公共機関か
| 区分 | 主な業務 |
|---|---|
| 放送事業者 | 警報・避難の指示・緊急通報の放送 |
| 運送事業者 | 避難住民と緊急物資の運送、旅客施設の秩序維持 |
| 電気通信事業者 | 避難施設への通信設備の臨時設置、優先接続 |
| 電気・ガス事業者 | 安定供給、停電時の電力融通、危険予防措置 |
| 医療機関 | 開業時間の延長、施設の安全確保、搬送体制 |
| 日本赤十字社 | 救援への協力、外国人の安否情報の収集 |
| 日本銀行 | 銀行券発行、資金決済の円滑な確保 |
国民保護業務計画指定公共機関・指定地方公共機関には、国民保護業務計画を作成する義務があります。自社が指定されているかを、まず確認してください。
従業員と来訪者を守る5つの備え
館内一斉伝達の手段を持つ
館内放送・社内チャット・メール一斉配信。Jアラートを受けて即座に流せるか、文面まで用意しておきます。
退避先を決めておく
窓のない部屋、地下、堅ろうな建物。フロアごとに具体的な場所を指定します。「各自判断」は判断していないのと同じです。
判断権限を明確にする
誰が「業務中止・退避」を宣言するか。不在時の代行者、さらにその代行者まで決めます。
来訪者・顧客への対応
社員以外もその場にいます。誘導係と、社員以外に届く伝え方を決めておきます。
帰宅困難への備え
むやみに帰らせないことが原則です。社内待機のための備蓄と滞在場所を用意します。
施設を避難先として提供する
同意がすべての起点緊急一時避難施設の指定は、施設管理者の同意が前提です。つまり、民間企業が「はい」と言わなければ、地域に逃げ込む先は増えません。
対象になりやすい施設地下駅舎、地下街、大規模建築物の地下駐車場、地下道、コンクリート造り等の堅ろうな建築物。これらは面的につながっていることも多く、まとまった収容力になります。
企業側のメリット帰宅困難者の一時滞在施設とのデュアルユース、事業者表彰、容積率緩和等の奨励策の検討。地域に必要とされる拠点になることは、平時の信用にもつながります。
BCPに武力攻撃を加えると前提が変わる
| 観点 | 自然災害BCP | 武力攻撃を加えると |
|---|---|---|
| 予兆 | 数日前から把握可能 | 数分、またはほぼ無い |
| 被害範囲 | 地域が限定されやすい | 全国同時・広域も |
| 期間 | 数日から数週間 | 長期化しうる |
| 避難先 | 広い屋外・避難所 | 地下・窓のない部屋 |
| 情報源 | 気象情報が中心 | Jアラート・政府発表 |
宇宙天気現象という盲点大規模太陽フレアでは、通信・放送の断続的な途絶、衛星測位の精度低下、航空機・船舶の運航見合わせ、広域停電のおそれが指摘されています。通信とGPSに依存した業務ほど、代替手段が要ります。
備蓄・訓練・地域連携
3日分以上の備蓄
従業員数と想定来訪者数で計算します。水・食料・毛布・簡易トイレ・照明・救急用品。
電源と通信の代替
非常用電源、衛星電話、乾電池式ラジオ。停電と通信途絶の両方を想定します。
年1回以上の訓練
Jアラート想定の館内退避訓練。所要時間を計測し、翌年に短縮できたかで評価します。
自治体との協定
施設提供、輸送、物資供給。口約束ではなく、平時に文書で結んでおきます。
サプライチェーンの確認
取引先の被災・供給停止を想定し、代替調達先を確保します。
チェックリスト
- 自社が指定公共機関・指定地方公共機関に該当するか確認したか
- 該当する場合、国民保護業務計画を作成・更新しているか
- BCPの想定に、武力攻撃・大規模テロを含めているか
- Jアラートを受信し、館内へ一斉に流す手段があるか
- フロアごとに退避場所(窓のない部屋・地下)を決めているか
- 業務中止と退避を宣言する権限者と、その代行者が明確か
- 来訪者・顧客の誘導担当を決めているか
- 従業員と来訪者の3日分以上の備蓄があるか
- 非常用電源・衛星電話・ラジオなど代替手段があるか
- 自社施設を緊急一時避難施設として提供できるか検討したか
- 自治体と協定(施設・輸送・物資)を結んでいるか
- 年1回以上、退避訓練を実施し所要時間を計測しているか