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国民保護の基礎
どの立場の人にも共通する前提知識です。ここを押さえておくと、以降の学習ページと検定の理解が大きく変わります。
国民保護法とは
正式名称は「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」です。武力攻撃から国民の生命・身体・財産を保護し、国民生活等に及ぼす影響を最小にするため、国・地方公共団体等の責務と、避難・救援・武力攻撃災害への対処等の措置を定めています。
基本的人権への配慮措置の実施にあたっては、国民の基本的人権の尊重に十分な配慮がなされます。国民への協力要請は自発的意思に委ねられ、強制にわたることはありません。要請に基づく協力で死亡・負傷等した場合は、損失が補償されます。
3本の柱
- 住民の避難警報の発令・通知、避難の指示、避難実施要領の策定、避難住民の誘導と運送。
- 避難住民等の救援収容施設の供与、食品・飲料水・生活必需品の給与、医療の提供、安否情報の収集と提供。
- 武力攻撃災害への対処消火・救助、NBC攻撃への対処、生活関連等施設の安全確保、応急復旧。
事態の区分
| 区分 | 定義 |
|---|---|
| 武力攻撃予測事態 | 武力攻撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態 |
| 武力攻撃事態 | 武力攻撃が発生した事態、または発生する明白な危険が切迫していると認められる事態 |
| 緊急対処事態 | 武力攻撃に準ずる手段で多数の人を殺傷する行為が発生した事態等で、国家として緊急に対処する必要があるもの |
用語の関係前の2つを合わせて「武力攻撃事態等」といいます。緊急対処事態でも、これに準じた措置(緊急対処保護措置)が実施されます。また緊急対処事態は、後日、武力攻撃事態であると認定される事態を含みます。
武力攻撃事態の4類型
着上陸侵攻
船舶による場合は沿岸部が、航空機による場合は沿岸部に近い空港が当初の侵攻目標となりやすい。措置を実施すべき地域が広範囲にわたり、期間も比較的長期に及ぶことが想定されます。
弾道ミサイル攻撃
発射された段階での攻撃目標の特定が極めて困難で、短時間での着弾が予想されます。弾頭の種類を着弾前に特定するのも困難です。
ゲリラ・特殊部隊による攻撃
突発的に被害が発生することも考えられます。被害は比較的狭い範囲に限定されるのが一般的ですが、原子力事業所などの生活関連等施設が標的の場合、大きな被害が生ずるおそれがあります。
航空攻撃
兆候の察知は比較的容易ですが、あらかじめ攻撃目標を特定することは困難です。都市部の主要施設やライフラインのインフラ施設が目標となることも想定されます。
情報が伝わる仕組み
- 国が警報を発令緊急の必要があるとき。直ちに都道府県知事等へ通知。
- 国が避難措置を指示住民の避難が必要なとき、都道府県知事に対して指示。
- 都道府県知事が通知・指示市町村・関係機関へ通知し、住民に避難を指示。
- 市町村が住民へ広報防災行政無線・広報車・緊急速報メール等で伝達。
- 住民が避難行動をとる近くの建物の中、または地下へ。
多重化が原則情報伝達は、防災無線・衛星通信など複数の経路を確保することとされています。一つの手段に依存しないことが伝達力の要です。武力攻撃が迫る地域では、原則としてサイレンを使用して注意喚起が図られます。
避難施設の体系
国民保護法第148条により、都道府県知事(指定都市では市長)が、施設管理者の同意を得て、あらかじめ避難施設を指定します。
| 区分 | 性格 |
|---|---|
| 避難所 | 避難住民等を収容する施設。学校・公民館・体育館など。長期化する場合は長期避難住宅の設置も可能 |
| 緊急一時避難施設 | 爆風等からの直接の被害を軽減するための一時的な避難先。堅ろうな建築物や、地下街・地下駅舎等の地下施設 |
| 特定臨時避難施設 | 一定期間の避難が可能な機能を備えた堅ろうな施設。先島諸島の5市町村(与那国町・竹富町・石垣市・多良間村・宮古島市)で整備予定 |
| 屋外避難施設 | 応急仮設住宅の用地、炊き出しや医療提供の場所となる公園・広場・駐車場など |
混同しやすい点「一時的に身を守る場所(緊急一時避難施設)」と「生活する場所(避難所)」は別物です。爆風から身を守る場面で、遠くの避難所を目指してはいけません。
シェルター確保の基本方針
「緊急事態を想定した避難施設(シェルター)の確保に関する基本方針」(令和8年3月31日 閣議決定)は、あらゆる緊急事態にシームレスに対応する方針を示しました。
- 都道府県単位から市区町村単位へ、きめ細やかな指定を促進。令和8〜12年度で人口カバー率100%、昼間人口カバー率100%が目標
- デュアルユースの推進。帰宅困難者の一時滞在施設と緊急一時避難施設を兼用し、武力攻撃から自然災害まで切れ目なく対応
- 地下駅舎、地下街、大規模建築物の地下駐車場など、民間の既存地下施設をシェルターとして確保
- 水・食料・簡易ベッド等の備蓄により、数日間の滞在を可能にする。容積率緩和等の奨励策も検討
- 諸外国の取組を参考に、核攻撃等より過酷な攻撃に対応するシェルターも調査・研究
Jアラートが鳴ったときの3つの行動
| そのとき | とる行動 |
|---|---|
| 屋外にいる | 近くの建物の中、または地下へ避難する |
| 近くに建物がない | 物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る |
| 屋内にいる | 窓から離れ、できれば窓のない部屋へ。カーテンを閉める |
自然災害の警戒レベル
| レベル | 情報 | とるべき行動 |
|---|---|---|
| 5 | 緊急安全確保 | 命の危険。直ちに、より安全な場所へ |
| 4 | 避難指示 | 危険な場所から全員避難 |
| 3 | 高齢者等避難 | 高齢者・障害のある方等は避難 |
| 2 | 注意報等 | ハザードマップで避難行動を確認 |
| 1 | 早期注意情報 | 災害への心構えを高める |
呼称の変更に注意令和3年5月から、レベル4は「避難指示」に一本化され、避難勧告は廃止されました。レベル3は「高齢者等避難」、レベル5は「緊急安全確保」です。
2026年の司令塔体制
| 事態 | 主な根拠法 | 主な司令塔 |
|---|---|---|
| 武力攻撃・テロ | 国民保護法/事態対処法 | 内閣官房 国家危機管理室 |
| 自然災害 | 災害対策基本法 | 防災庁(2026年設置) |
| 感染症 | 特措法・感染症法 | 内閣感染症危機管理統括庁 |