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自治体の役割と実務
自治体は、住民に最も近く、最後に情報を届ける立場です。国がどれだけ早く警報を出しても、ここで止まれば住民には何も届きません。
都道府県と市町村の役割分担
| 都道府県 | 市町村 | |
|---|---|---|
| 計画 | 都道府県国民保護計画の作成と毎年の検討 | 市町村国民保護計画の作成 |
| 情報 | 国の指示を受け、市町村・関係機関へ通知 | 住民へ広報(無線・メール・広報車・SNS) |
| 避難 | 住民に避難を指示 | 避難実施要領を定め、住民を誘導 |
| 施設 | 避難施設の指定(法第148条、指定都市は市長) | 施設の開設・運営、管理者との調整 |
| 救援 | 収容施設の供与、食品・飲料水、医療の提供 | 避難所の運営、安否情報の収集 |
避難実施要領に盛り込む項目
- 避難させるべき地域と、避難先の地域
- 避難の経路(複数ルートと、使えない場合の代替)
- 集合場所・集合時刻と、誘導を担当する職員の配置
- 運送事業者の協力を得た輸送手段と、その台数
- 高齢者・障害のある方・乳幼児・妊産婦への支援方法
- 外国人・観光客・帰宅困難者への対応
- ペット同行避難の取扱い
- 夜間・休日・積雪期など、条件が悪い場合の想定
実務のコツ弾道ミサイル/ゲリラ攻撃/大規模テロ/風水害の「型」をあらかじめ用意しておけば、当日は選んで直すだけで済みます。白紙から書き始める余裕は、本番にはありません。
施設を「実際に使える状態」にする
地下施設を掘り起こす
地下駅舎、地下街、大規模建築物の地下駐車場、地下道。民間の既存施設に当たり、管理者の同意を得ます。
デュアルユースで説得する
帰宅困難者の一時滞在施設と兼用にすれば、施設側にも平時の意味が生まれます。シェルター基本方針もこの方向を示しています。
滞在機能を持たせる
水・食料・簡易ベッド・トイレ・照明。数日間の滞在を可能にする備蓄を進めます。
住民が探せるようにする
地図での公開、防災アプリとの情報連携、施設への表示。知られていない施設は、存在しないのと同じです。
夜間・休日に開くか確認する
施錠されていれば逃げ込めません。開錠の手順と担当、鍵の保管場所を決めておきます。
要配慮者・外国人への対応
避難行動要支援者
名簿と個別避難計画を整備し、誰が支援するかまで決めておきます。
乳幼児・妊産婦
ミルク・おむつ・授乳スペースを避難所に準備します。
医療的ケアが必要な方
電源・薬・機器の確保と、医療機関との連携。停電を前提に考えます。
外国人・観光客
やさしい日本語と多言語表示。ピクトグラムは言語を越えます。
ペット同行
受入れの可否と場所を、事前に決めて公表します。
視覚・聴覚障害
音と光の両方で伝えます。文字表示と手話の手当ても要ります。
効果的な避難訓練にする4つの工夫
- 避難先に緊急一時避難施設を選ぶ本番で使う施設を、実際に使ってみる。
- 防災訓練と併せて実施するより多くの住民が参加できる。
- 多様な担い手が誘導する消防職団員・警察官に加え、運送事業者職員や避難先の公共施設職員も。
- 要配慮者に参加してもらう乳幼児、車いす利用者など。実際の所要時間が見えてきます。
音を知ってもらうサイレン音を一度も聞いたことのない住民は、本番で何が起きたか分かりません。訓練や広報で、実際の音を聞いてもらう機会をつくってください。
チェックリスト
- 国民保護計画を、この1年で検討・見直ししたか
- 避難実施要領のパターンを、事態類型ごとに用意しているか
- 避難施設の一覧が最新で、住民が地図で探せるか
- 緊急一時避難施設が、昼間人口に対しても足りているか
- 夜間・休日に施設を開錠する手順と担当が決まっているか
- 避難行動要支援者名簿と個別避難計画が更新されているか
- 運送事業者・医療機関等との協定が有効か
- 防災行政無線の不達エリアを把握し、代替手段があるか
- 国民保護共同訓練に、この数年で参加しているか
- 住民がサイレン音と避難行動を知っているか、確認したか
- 職員の参集基準と、夜間・休日の連絡網が機能するか